コラム

 

ラリーを育てる

昨年末のプレゼンテーションで、ラリー東北3デイズ2019は「ラリーとして正常進化させます!」とお話しました。そして、その進化の方向は「コンペ度合いのアップ」です。競技としてのラリーを進化させるには、色々な事が考えられると思います。例えば日数を増やす事。TBIのように6日間とか7日間という日数になると、体力やマシンの状態で大きな差が生まれます。もちろんリタイアする人も多くなるでしょう。1日の距離を長くする事やルートそのものを難しくすることも同様です。純粋に競技性を高めるなら、SSの本数や距離を増やす事になると思います。由布院の場合はSSの数が12本とか13本です。すごいですね。

今年の東北も少しすごいです。第一回昨年のSSは4本で距離は30キロでした。今年は、本数は5本ですが距離は2倍の60キロです。15キロ越のSSが3本とかなり本格的です。じゃあ、コンペ一色で辛い3日間なのか?というとそうではありません。今年のルートは福島LOVEです。いわきの長い海岸線を辿ったり、旧道の古い町並みを眺めたり。ここぞという観光地や温泉街を抜けたり、福島を代表する施設を眺めたり、もちろん景色の良い場所も。昨年は火山活動が活発になり通行止めだった磐梯吾妻スカイラインも走れます。標高の高い所では紅葉も始まっていることでしょう。ダイナミックな風景を堪能してもらえるのではと思っています。

スペシャルステージの開催に当たっては、開催場所の地域住民の同意を得る事が道路管理者から求められます。今年もあちこちの山の中に住んでいる地域住民の方とお会いしてきました。その方たちは、超高齢化が進んでいて、一人暮らしが多いというのが特徴です。玄関のドアをノックして(ベルがない)ドアを開けると大体の場合主は寝そべっていてそのまま対応する感じです。おそらく一日中そんな過ごし方なのでしょう。こんな状態ですので、前の道をバイクが通っても「うるさい!」と文句を言う元気すらないのではという感じです。おそらく、あと10年もすればみないなくなってしまう感じでしょうか。そうなるとそのエリアの道路の必要性がなくなり、どんどん廃道化が進んでいくかもしれません。今年はそんな道も沢山走ります。アスファルトに舗装はされていますが、路面は苔が生えていたり杉の葉で覆われていたり。きっとバイクにとっては走りにくいことこの上ない状態ですね。もしかすると砂利道のほうが安心して走れるかもしれません。

昨年のラリーのときにヤマダサンと話していたのですが、ダート好きな人間がラリーに参加しているはずなのに、ダートが終わって舗装路に出るとみなほっとするというのはどうなんだろうと。ダートが好きならダートが終わってしまっては残念なはずなのにね。昨年はダートにこだわってルートを作成しました。できるだけたくさんのダートを走って欲しいという思いからです。しかし、もしかするとダート比率の高さとラリーの満足度は比例しないのではないか?などという疑問も持ち始めています。今年はそれほどダート比率にはこだわっていないのですが、それでも3日間で1,000キロ近く走ってダートも250キロくらいになりました。

2年目の東北。色々な事を仕込みながら皆さんの反応を見つつ、どんなラリーに育てて行こうか、ここしばらくはそんなチャレンジが続いていくと思います。その変化をしっかりと毎年確認に来て一緒にラリーを育てていただけると嬉しいです。

 

[kouen]