『楼蘭の黙示録』6月24日リリース!!

タクラマカン砂漠の東に、その所在のしれない湖ロプノールがあった。彷徨える湖と言われ、ハスの葉の上を転がる水玉のように自由に動いていた、のではなかった。

楼蘭の発掘調査に向かう現代の私たちと、水を失い続け苦悩する古代の楼蘭人の二つの時空が交錯する本作品。
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何度か書きなおした?序文をご案内しておきます。

「序
二〇世紀のただなかに少年時代を過ごしたわたしたちを空想の世界へ駆り立て、冒険への覚悟と準備を迫った一冊の本があった。
それはスウェーデンの地理学者スヴェン・ヘディンの著した『さまよえる湖』だ。
地球上最後の地理的空白地帯とされ、その位置を特定することの出来なかった湖ロプノールを探すというのである。それはタクラマカン砂漠を、まるで蓮の葉の上を転がる水滴の如く彷徨っていると思われていた。
湖の北西に紀元前二〇〇〇年もの過去から、絢爛たる文化を築いた楼蘭という名の王国が存在した。いくたびの興亡を繰り返しながら洋の東西を結ぶシルクロード交易の要衝として栄え、そして忽然と砂の中に姿を消した。まるで歴史の闇に葬り去られたかのように。
一九三四年、スヴェン・ヘディンは丸木舟で塔里(たり)木(む)河*註㈠を下り、満々と水を湛えたロプノールに到達し、あまたの議論に終止符を打った。しかしヘディンの唱えた流砂の堆積説もふくめ、なぜ湖が移動するのか、楼蘭王国はいかに栄え、そして消滅したのか、その謎は現代でも説は定かではない。
本書は、あくまでもわたしの空想の産物に過ぎない。少年時代から紡いできた、この地への冒険行の仮説的結論が、この『楼蘭の黙示録‐彷徨える湖と楼蘭は、いかに地上から消滅したのか』という物語である。
二十一世紀、わたしは複数回にわたり水を失ったロプノールの地に立った。そこには驚きの光景が広がっていた。
一辺が四〇キロを超える巨大な塩水プールがあり原発かと見紛うほどの冷却塔が立っていた。警護する兵士はサブマシンガンの銃口をこちらに向け、カメラを取り上げ撮影済みのデータを検閲する。
そこは岩塩にわずかに含まれるリチウムペグマタイトの精製基地であろうが、さらにある消息筋は、この地でCTBT包括的核実験禁止条約の国際監視制度の目をかいくぐって秘密裏の地下核実験が続いているとも伝える。
本書を通して共に消滅してしまったシルクロード幻の天山南路を、西に向かい凄まじい砂嵐と、全てを灼きつくすかのような炎熱に歯を食いしばって、時空を遡るように楼蘭を目指そうではないか。
望むなら連れて行こう。そして水を失くすという、いずれ人類も直面する最大の難局を目のあたりにしようではないか。

山田 徹」