コラム

「さあ、31年目のTBIへ」

昨年は賑やかな30回記念大会を祝った。ホテルでのパーティも久しぶりだったし、ボクは「もう、これでいいや」と思ったことも事実だ。その夏、四国は未曽有の豪雨災害に襲われた。ボクタチの通った山々や林道群は目を覆いたくなるような惨状だ。それよりも人々の暮らしが立ち行かない。

そんな今年、TBIは過去2番目の少なさの参加者数を刻んだ。でもボクは「それもいい」と、考えた。そして途中からは「それがいいや」となった。もちろん運営は、少なくない不足額は生じる。もちろん「それも、いいや」そう考える。なぜか?TBIはすでにその存在価値が現代の日本に祖語をきたしてるのかもしれない。31年前、ボクタチははじめてマップホルダーを制作するところからTBIをはじめた。過酷な7日間の旅の参加者は「修行僧」と揶揄され、ぼくはまるで新興宗教の教祖かのように言われた。あれから本当に30年。

でも色々なものは変わったが、四国の美しい自然は変わらなかった。川はその美しさを増し、山々はその緑濃さを変えない。林道群は、いつまでも走る者たちを気持ちよく迎えるし、山肌からほとばしる清涼な水は豊かだ。

何も変わらない
だからぼくたちは変わらないことにした。
むしろさらに豊かな冒険の旅を走るのみだ。

YAMADA Tetsu