ルート解説

 

5年目のラリー東北はいよいよ北東北へ

2022年は岩手県をメインステージとしています。岩手県はどんな所かというと、一番の特徴はなんといっても広大な面積です。なんと四国4県を合わせた面積より少し小さいくらいなんです。そして森林面積が県土の8割を占めており林業が盛んです。ですから林道も沢山あって、林道の総延長は5,883キロで全国第4位となっています。岩手の森林の特徴は広葉樹の占める割合が全国平均の2倍近いという事ですので美しい紅葉を楽しめる場所も多いはずです。この岩手で秋にラリーを開催できるなんて、とても素敵な事だと思います。 バイク乗りなら岩手と言えばイーハトーブトライアルですね。ツーリングトライアルのイベントとして今年で46回の開催というすごいイベントで、実は私も今年久しぶりに参加させていただきました。イーハトーブとは、宮沢賢治の造語で「ドリームランドとしての岩手県」のことを示しています。いわば宮沢賢治の理想郷です。今回のラリーでは、このイーハトーブの風景地とされている、宮沢賢治の心象風景となった場所を巡ります。 スタート&ゴールの場に選んだのは、「種山ケ原」です。奥羽州市、遠野市、住田町にまたがる高原地帯で、北上山地によく見られる隆起準平原(川の流れなどの侵食によって削られてできたゆるやかな地形を準平原といい、準平原が広い範囲で隆起したものを隆起準平原という)と呼ばれる地形です。宮沢賢治がこよなく愛した高原で、種山ケ原の風景や気象を題材に童話「風の又三郎」他、多くの詩や短歌を残したそうです。今回のラリーでは、このような素晴らしい眺望の高原を何か所も通ります。タイミングよく天気に恵まれれば絶景を堪能できると思いますが、こればかりは運任せ。今年だめならまた来年来てください。 宮沢賢治が愛した峠と言われる「五輪峠」がルート上にあります。かつて交通の要所であったこの峠を、宮沢賢治は一生に何度も越えたと言われています。峠には五輪の由来ともなった塔があり、宮沢賢治の見た風景を垣間見ることができるでしょう。(Day1の29.95キロ) 宮沢賢治のお気に入りだった「七ツ森」は、長詩「小岩井農場」の他にも、度々作品に登場します。田園風景の中にある独特の景観は饅頭型に連なるユーモラスな形をしています。(Day1の272キロ過ぎ、Day3の19キロ付近) 「狼森」(おいのもり)は小岩井農場内にある標高379mの独立丘陵です。黒い松の森で狼が住んでいて開拓民の子供たちに栗やきのこを振る舞ってくれたといわれます。人間関係や、人間と自然との関係を表す象徴的な存在として描かれた森です。(Day1の277キロ過ぎ) 「鞍掛山」は岩手山の南麓に位置し、馬の背に鞍を伏せたような緩やかな盛り上がりを見せる標高897mの山で、周辺をラリー期間中に何度か通ります。鞍掛山に関する宮沢賢治作品は多くまさに賢治の心象風景になっている場所です。(Day1の283キロ過ぎ、Day2の8キロ、379キロ付近) 心は外界を感じとることで、働きます。見たり、聞いたり、さわったりする感覚が心を働かせるのです。ラリーというフォーマットを通じて見る、宮沢賢治の心象風景からあなたはどんな「自分のイーハトーブ」を感じるのか。感想文の提出をお願いしますね。 今回のルーティングは3日間を通して距離が長めに感じるかもしれません。しかし、一般道も緩やかで交通量が少なく気持ちよくリエゾンのツーリングも楽しめると思います。半面、ラリー東北のテーマとしての「コンペティション」にはこだわりました。今回、SSの総延長は100キロを越えます。これまで開催されたSSERのラリーの中でも屈指の長さです。その両方を通じて、「走り切った」という充実感はこれまでのどのラリーより高くなると確信しています。 最後にお願い。今回、SSの開催地で初めて住民説明会を開催しました。多くの方は好意的ではありますが、やはりオートバイの音に関しては神経質な方もいます。地元愛にあふれた地域の方との信頼関係の構築が、長くイベントを開催させて頂くためには重要です。民家のある場所ではくれぐれもジェントルな振舞いを。狭い山道では地元車優先を。よろしくお願い致します。