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No.006
2000/01/18

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<シックスデイズ>
インターナショナル・シックズデイズ・エンデューロ(以下ISDE)というイベントがあります。年一回、秋から冬にかけての時期に、各国の持ち回りで開催されるこの競技、今年はスペインのグラナダという街で開催されます。ISDEの第一回大会は、英国のカーライル湖地区で1913年に開催されたもので、今年の大会は75回目になります。マツモトさんもかつて数年に渡って、このイベントの取材を続けていました。ぼくが初めてISDEを訪れたのは、1994年アメリカ大会。マツモトさんの後を引き継いだような感じです。まだまだ新参者ですが、ぼくは毎年このイベントを楽しみにしています。ISDEのことについて知らない人は多いと思いますが、SSER ORGANISATIONのヤマダさんも、かつてこのイベントの歴史や、そこにある競技性に注目し、また魅力を感じた人間の一人だ、と話してくれたことがあります。ぼくにとっては、常に興味深いテーマとして心から離れないこのイベントことを、“北の島”でも折に触れて紹介していきたいと思います。今回は、近年の日本のシックスデイズライダーと切り離して語ることのできない英国人夫妻のことを、少し書きます。

<彼らにとってのホビーとは…>
ISDE(インターナショナルシックスデイズエンデューロ)に参加する日本人選手を毎年手伝いサポートクルーとして活躍してくれるイングランド人の夫妻がいます。かつては、イングランドトロフィチーム(国代表チーム)のマネージメントを行っていたこともある二人ですが、現在ではその役目も無く、ジャーナリストとして世界選手権エンデューロシリーズや、各地のローカルイベントをレポートしたり、仕事を定年退職した今はVWのキャンパーでヨーロッパ中、またISDEがヨーロッパを出て開催される時にはどこへでも、とにかくエンデューロとともに生活することをじっくりと楽しんでいます。毎年ISDEに出場する日本のライダーや、それにくっついて行くサポートクルー、また写真を撮りに行くぼくも、この二人に会えることを楽しみにしています。実際、彼らはチームマネージャーとして、技術的な面でのアドバイザーとして、日本からやってくるチームを助けてくれます。なぜそこまでやってくれるんだろう、と疑問に思ったので、おかしな話ですが「なぜそんなにしてくれるんですか?」と尋ねてみたことがあります。すると、「それはホビーとしてとっても面白いからだよ」とあっさりとした返答。「シックスデイズのことを何も知らない君達が、次第に良いライダーや良いチームに育って行くのを見て、それを手助けするっていうのはとっても興味深い仕事だよ」と話してくれました。ホビーというのは、つまり趣味ということです。この日本語の「趣味」というのと、彼らの言うところのホビーという言葉の意味するところは少しばかり違います。趣味といえばとにかく気軽で気晴らし程度のものをイメージしますが、彼らの言うホビーというのはもう少し取り組み方が真剣です。生涯つきあえるような価値のある趣味、とでもいえば良いでしょうか。それが彼らにとってはモーターサイクルスポーツに関わることであり、シックスデイズもそのひとつだということなのでしょう。彼らは、自らはエンデューロなどに参加したことは一度もないのですが、もう何十年もこうしてサポートする立場としてモーターサイクルスポーツに関わってきて、そして目一杯、真剣に楽しんでいる。話をしていると彼らの持っている膨大な知識や経験してきたことの奥深さに驚かせられますが、何より心を打たれるのは、彼らが実に多くのライダーや関わってきた人たちのことを記憶していることです。それはこの競技や、そこに関わる人たちに対する愛情あってのことに違いありません。

ぼくたちも日本において、確かにモーターサイクルスポーツを趣味として楽しんでいますが、例えばこの夫妻のようなスタンスで関わり、楽しめるような状況を作っているといえるでしょうか。走ることだけ、走るヒトだけが楽しめるというのでは、このスポーツも厚みのあるものにはならないのかもしれません。なに? 一度レースに家族を連れていったけど、泥んこに懲りてもう二度と行かないって怒られたって? そりゃそーだね。

本当は走ることだけじゃないところに楽しさを見つけた時に、趣味として本物といえるものになった、と実感できるのかもしれない。と最近そう思うのです。

 

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