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No.163
2007/02/08

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水平対向エンジン

■BMWのバイクに乗るなら若いうちだ。ふさわしいと言われるような年齢になってから乗るんじゃなくて、今乗るからいいんだ。と、そう思ってショーウインドウを覗いていたのが昨日のことのようですが、あれからもう20年も経ったのかぁ。おじさんにふさわしい、なんて思われるBMWもいいツラの皮ですが、事実、BMWのバイクはそれなりに高価だし、若者のわずかな月給で買って、維持するようなものじゃなかったですから。でも、きっとそのうち、あの横に張り出したシリンダーをきらめかせて、ワインディングを軽やかに。そう、写真で見る大戦中のレシプロエンジンの戦闘機のように美しくバンクさせて走ってやろうと思っていました。

■ところがぎっちょん! いい加減な年齢になってから乗ったBMWのバイクは、泥んこのR100GS! これももちろんいいバイク(マツモトさんから譲り受けて、さらに今は北海道のYさんの家で春を待っていますが)だったのですが、若い頃に夢見たBMWとは微妙なセンで違っていました。BMWでロードレースを、いつか走ってみたいなぁ…、と。

■水平対向のエンジンへの憧れとは、いったいなんなのかな? どこからくるんだろう。ほくはこう思うんです。バイクに乗るっていうことは、つきつめて言えば「エンジンに乗る」っていうことなんじゃないか、と。道具としてのバイクになら、いろいろな形態がある。エンデューロ用、モトクロス用、ラリー用の仕様、目的にあわせて道具としての姿形はさまざま。でも、そうした合目的性をすべて取り払って、単にパイクに乗るという気持ちだけを純粋培養すると、それらはどうでもよくなってくる。さらに、物理的なライディングという行為すらも取り払って、その精神性だけを抽出するとどうなるか。そこに残るのは"エンジン"なんじゃないだろうか。目をつぶると、暗闇の中ににぶい光を放つ金属の塊が浮かんでいるような気がしてくる。その観想の中にあるのはどんな形をしたエンジンだろう。

■水平対向エンジンは、その個性と自己主張の強さゆえに、エンジンというイメージを象徴できる存在なんじゃないかと思いました。その比類のない堅牢さは、走り続けるというライダーの根源的な欲求を、乗らずして満たしてしまう力を持つ。だから、もしかするとぼくは、永遠にこれを手に入れることはしないかもしれない、だとしても憧れを抱き続けるだろうと確信しているんです。

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