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No.82
2004/09/17

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インターナショナルシックスデイズエンデューロ、第78回ISDE、今年はポーランドで開催されています。今回の北の島は、そのプレスルームで書いています。

国際6日間エンデューロ、エンデューロというと多くの人は耐久レースをイメージすると思いますが、1913年から続くこの大会は、1979年までトライアルという名称で呼ばれるもので、競技の目的も、モーターサイクルの信頼性とライダーの技量を試すために開催される、とルールに明文化されているもので、レースというよりはコンテストに近いルックスを持っています。

FIM(国際モーターサイクリズム連盟)のインターナショナルイベントであり、国代表チームの対抗戦ということで、ヨーロッパを中心に世界各国からトップライダーが集結。モトクロスのワールドランカーも参加するなど、世界の頂点に位置するイベントといっても間違いはありません。

1994年のアメリカ大会から10年、ぼくもこのイベントに通っていますが、その理由はなんといっても世界の頂点のシーンに肌身で触れることができること、また、エンデューロシーンの最先端の情報をつかみどりにできる年一回の貴重な時間であること、また、普通の旅行では知ることができない、世界各国のリアルな姿に触れることができるという点も、このイベントの魅力。多くのシックスデイズピープルにとって次年度の開催地が「約束の地」となっている理由でもあります。

でも、ぼくがこの競技のもっともすばらしいところだと思っているのは、そうした部分とはちょっと違うところにあります。それはなにより、このイベントが「競走」ではなく「試験=トライアル」であるということです。国代表チームが覇を競う一方で、多くのアマチュアライダーたちも、まったく同じ条件でこの6日間を戦っています。

さまざまな事情をやりくりして、やっとスタートラインについたアマチュアたちが、顔をまっくろにして、泥だらけのマシンと格闘。たった一人で整備をしてタイヤ交換。泥だらけのウェアを自分で洗濯してからじゃないと、熱いシャワーも、夕食もおあずけ。そして朝はまだ暗いうちにおきだして、また300km、7時間の過酷なコースに出て行きます。

そんな大変なことを、なぜするのか。自分へのチャレンジ、いやになっても、くたくたになっても自分はまだベストをつくすことができるのか。自分はまだ生きていけるのか、がんばることができるのか。そんなことを、この6日間で試し、確かに生きてるという自分を確認するのでしょうか。

夕方のパルクフェルメに帰ってくる、真っ黒な顔のライダーたちに会うのが好きです。トップライダーではない彼らには拍手も声援もなく、静かに重い足を引きずって歩いていきます。笑顔ではなくても、心の中に、なにかあたたかいものが、見えるような気がします。

写真は伊藤聖春 GASGAS EC250
1995年から、ラリーレイドモンゴルと重なった2001年を除いて、毎年ISDEに参加しているライダーです。今年47才。自らの限界に挑戦しています

 

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