お問合せ/住所

 

 

No.80
2004/09/02

<< No79(2004/08/27)

No81(2004/08/10)>>

旅のバイク

■今年のガストン・ライエミーティングは「京都」なんですね。ぼくもガストン・ライエミーティングには、第1回、淡路島に集合した時、そして一昨年、白馬で開催された時に参加させてもらいました。車種は問わず、ということになっているイベントですが、当然のごとく、BMWのGSに乗っているライダーが多く集まっていました。ぼくもまた、かなりパートタイムではありますが、GSライダーのひとりです。

■かっこいいボクサーツインのゲレンデシュポルト。ぼくのR100GSは、ボロくてそんなにかっこ良くはない。それでもずっと憧れ続けていたバイクでもあり、あんまり走らせる機会はないのですが、愛車としてガレージに置いてあって、その気になればいつでも走り出せるということを思うと、なにかこう満足感があるというか、心のどこかに小さな灯がともるような充足感をおぼえる、そんな存在です。それはもしかすると、このバイクとともに、いつでも旅立つことができるのだ、という、自由の証であるのかもしれません。

■もちろん、今すぐにどこにでも旅立つことができる、なんて、そんな甘っちょろいハナシはないし、またそんなふうに人生に悟達しているというわけでもない。それでも、このボクサーツインをうならせて、右手をひねり、ゆるやかなワインディンク--例えば北海道の国道274号樹海ロードとかね--をひらりひらりと軽快に飛ばしている時、GSライダーならだれでも、自分は自由だと、自分はこのまま旅を続けることができるんじゃないかと、それが錯覚であると知ってはいながら、ひと時夢想できるんじゃないかな。

■GSとはそういうバイクで、だからこの軽快なエアヘッドのGSは、すでに時代遅れだとかなんだとか、当然のことを言われながらも、今でも大事に乗り続けているライダーが多くて、その価値もまったく色あせることがない。例えば、最近ではBMW-GSのライバルとしてKTM950Adventureというラリー育ちのVツインマシン、また同じくR1200GSという最新型ももちろんあって、あたかもすべての点で従来のもの凌駕しているかのように語られるけれど、ぼくは、このエアヘッド=GSに追いつき追い越したバイクは、未だないと思っています。「KTM950Adventureより、旧型ビーエムのほうが優れている? そんなバカな」ごもっとも…。

■KTMとBMW、2000年前後のダカールラリーで激突したふたつのファクトリーは、これよりもかなり以前、1970年代後半から約10年間、ISDE(インターナショナルシックスデイズエンデューロ)を、ともに戦っていました。アルバート・シェックやシャルバーが走らせたBMWボクサーツインのISDEトロフィモデルは、やがてGSという名を与えられることになるわけですが、KTMもまた、そのエンデューロモデルにはGS(ゲレンデシュポルト)という名前が与えられ、1990年後半になってEXC(エンデューロクロスカントリー)と変更されるまで、長くその名が愛されてきたのです。

■そんなふたつのGSブランドが、ツインシリンダーの大陸的なモーターサイクルの市場で再び覇を競うというのが、面白いですね。とはいえ、ピュアスポーツのらしさ満点KTMは、旅のバイクとしてはまだ一歩、ビーエムに学ばなければならないところが多いようです。反面、ビーエムは、細部にまで惜しげもなくハイクォリティのパーツを使いまくっているKTMの贅沢さにたじたじということになるでしょうか。あれ、なんか評論みたいになっちゃいましたけど、ぼくにはどんな新車より。自分のボロいGSが一番です。違いのわかるオトコが持ってるバイクを、やっとぼくも手に入れたんですから…。


ビックタンクマガジン

http://www.bigtank.cc

MENU
No211 No212 No213 No214 No215          
No201 No202 No203 No204 No205 No206 No207 No208 No209 No210
No191 No192 No193 No194 No195 No196 No197 No198 No199 No200
No181No182No183No184No185No186No187No188No189No190
No171No172No173No174No175No176No177No178No179No180
No161No162No163No164No165No166No167No168No169No170
No151No152No153No154No155No156No157No158No159No160
No141No142No143No144No145No146No147No148No149No150
No131No132No133No134No135No136No137No138No139No140
No121No122No123No124No125No126No127No128No129No130
No111No112No113No114No115No116No117No118No119No120
No101No102No103No104No105No106No107No108No109No110
No091No092No093No094No095No096No097No098No099No100
No081No082No083No084No085No086No087No088No089No090
No071No072No073No074No075No076No077No078No079No080
No061No062No063No064No065No066No067No068No069No070
No051No052No053No054No055No056No057No058No059No060
No041No042No043No044No045No046No047No048No049No050
No031No032No033No034No035No036No037No038No039No040
No021No022No023No024No025No026No027No028No029No030
No011No012No013No014No015No016No017No018No019No020
No001No002No003No004No005No006No007No008No009No010