Organisation Voice 2011/07

 

 

2011/07/28 (木曜日)

 「着きましたか?ルートブック。」

って昨日送り出したのに今日まだ着いてないと思うけど、早く着かないかなあ。1冊の分厚いルートブックを手にしたときの感覚って、軽いめまいのようなものを覚えたものです。

なんていうか、たった1冊、ボクタチにしてみたら発行部数より印刷ページのほうが多いというおよそ印刷に関する「ありえない」ような矛盾をはらんで作られるルートブック。

ですから1冊がいくらかというと単純には計算できませんが100冊もないので・・・1冊40000円くらいかな?いやもう少しかかっているかもしれませんが。

しかしこの中身は、まるで千夜一夜物語のごとくです。

単純に図式化されたイラスト、時々はスケッチしたりしますが、サングラス越しに遠くを見てたら手元のノートなんて、良く見えないので数字もイラストも「だいたい・・・」最近は横からムッホが「7じゃないよ、1だよ。」とか、指摘するんです。しかしそこに行ってみると、そのミミズが這ったようなイラストに命が吹き込まれ極彩色に彩られていきます。

それまで全く無機的な表情をしていたルートブックが、平幹二朗のリア王のようにって見たことはないけど、生き生きと立ち上がってくる。このルートブックという設計図で、どれだけ美しく丁寧にそして早く建設していくかを競うのがラリーのようにすら思えます。腕前、材料の適切さ、道具の正確さ、そしてそれらの上に立つ経験と勘。

このラリーに集う人には特殊な傾向があります。

それはルートブックの間違い(ボクは間違いは皆無だと思っている)に文句を言うどころか、そこも勝負どころのひとつだと思っている節があるのです。

そしてルートブックは、まるでひとつの交響曲のスコアのようでもあります。

主旋律を隠し、こと柔らかな序曲からだんだん急を告げていく感じ。まさに序破急、そして壮大でおおらかな大スペクタクルの中に自分がいることを知ったときの驚きというか感激。

まるで世界最高のシンフォニーをきいていたと思ったら実はその中の一員として演奏していた、とそんな気分ですといえば大げさかもしれないけど、僕はそんな思いでこのコマ図を書いています。

さあ、早く届くといいなあ。新しいスコアが届いたときの演奏家のように、ページをめくりながら頭の中で音を感じるように、はるかなゴビの匂いをかいでほしい、と本気でそう思っていますから。

きょうの一枚

ホンゴルからゾーモットへのひとコマ。激しい筆致。色もつかわずに砂や岩や、遠くにある山や、目の前にある山、時にはデフォルメしたりと・・・ってあんま自慢すんなよな!?


2011/07/26 (火曜日)

「モンゴル急接近」

今だから笑い話なんですが、やっぱ中国・天津でコンテナは全く動かず。ボクはもう発狂寸前だったということを告白しておきましょう。ちょうど北4のころ・・・

国際物流の問題なのか?中国の問題なのか?はたまた日本の力のなさなのか・・・とにもかくにも毎年毎年この輸送では悩まされ続けています。というか命を縮めているとしか思えないのですが。ひょっとしたら1990年代半ばのほうがスムースだったのかとも。

海外でラリーを開催するということは大きな楽しみでもある反面、自分たちへの挑戦でもあります。さまざまなマネジメントに向けた想像力と驚くほどの楽観性、しかしあるときは科学者のような?悲観論も首をもたげます。

海外参加者から「サンキューベリマッチ」といわれるとボクは「イッツマイプレジャー」と答えることにしています。だって好きでやっいてるわけですから、でもそうそうご機嫌でやれない事情ばかり。胃の皮はもうペラペラになっちゃいました。

リスクの数は、ほんとうに枚挙に暇がありません。今年の最大のリスクは風評被害?欧米参加者たちのパタリと止まった状況は、ほかに考えられません。燃料不足。全土的な燃料難。考えてみればロシア・ガスプロムからの輸入のみに頼っているのですから。そして、中国・天津の滞貨。行も帰りも大問題です。休息に発展し世界中の観光客が押し寄せるモンゴル!もう10年目の風景とは全く違います。全てが大問題で、しかしそれは良き試練だとも思います。

こうしたおかげでアジアや世界の情勢を、面白い覗き窓から覗くこともできます。輸送や通関など思いがけないことに詳しくなってきます。さらに為替。海外からの参加者を驚かせたのも超円高かもしれません。

こうした困難の数だけ成長すればよいのですが、相変らずボクときたら退化の一方。まあそれでいいんですけどね。

さて今回は中国から私たちの代理店が、現場に同行して来年以降の本格的な中国選手の送り込みを展開するそうです。

国際情勢はさまざまなれど、こうしたネットワークの絆もまたジワリジワリと確実なものになってきてもいます。

きょうの一枚

SSERの扇風機はBMW製です。なんとこのロゴマークのプロペラマークは扇風機と良くマッチして。だれかが「高いんでしょうねえ、きっと」だって。ホームセンターで3900円+転がっていたステッカー。もう10年も使っている。

そしてもう一枚は、おまたせ「モンゴルのルートブック」7/27付けの発送で参加者の皆さんにはお送りいたします。


2011/07/25 (月曜日)

「さあてと、モンゴルはじまるだよ。」

涼しい北海道から帰ってまだ5日。今度はモンゴル。
毎日の涼しさで心配なことは、モンゴルが寒くないかということ。
いやもちろん今回は南ゴビでラリーの大半を展開するので、涼しいのはいいことですが、やはり少し北のほうの天候が心配です。

というのもですねシベリアの大気と、太平洋高気圧のせめぎあいは結構モンゴル高原の天候に直結しています。

たとえば冬
「モンゴルに寒波が来たから日本も1週間後には寒くなるね。」
とムッホから電話があれば、必ずこれが大当たり。
世界は微妙に繋がっている!?ということか。

暑い日本、涼しいモンゴル高原。むちゃくちゃ暑いゴビ・・・でもゴビの暑さは日陰に入ればなんともないので・・・

さて、ラリーのルートブックもまもなく印刷が上がるから皆さんのお手許に書留で送れるでしょうし、仕事大好き?なボクはすでにラリータイミングチャートも完成!!忙しいを連発しながらも、もう何もあまりすることはないのであります。

あっ、ゴメンナサイ!スタッフの皆さんは大忙し!!
ヒルクライムにジャズピクニック、SSER 3DAYSのコース付近への同意書のお願いの行脚。さらに楽しみなのは、そのSSER 3DAYS、実は2.5DAYSなんだけど、3日目の朝のSS!実現できそうになったらまたこちらで。

きょうの一枚

いつも使っているのは右のほうの初心者コースでしよ。今回は・・・ふふふふ

2011/07/21 (木曜日)

「北の国から」

富良野は雨の連休の中でも大渋滞。多くは「わ」ナンバー。観光客が多いのが良いのか少ないのが良いのかは存分に議論してください。このことは、全てのものは見方が違うと見え方が違ってくるなあ、というもの。

さて妙な書き出しではじまりましたが、長く留守をしてブログの更新もおろそかになりました。北海道の4日間のラリーは無事に終了いたしました。

大会の開会式には芦別市長、芦別警察署長、道警本部より管理官、また芦別消防署からは救急救命士(これはSS-1対応)もご出席いただき、さらに市役所職員の皆様もバスで駆けつけていただき、故齋木校長先生・本大会副会長への篤い黙祷を頂きました。清澤市長の素晴らしいご人徳に触れることにもなりました。この場をお借りして、心より御礼を申し上げます。

ボクは春木競技長とトヨタタンドラに乗ってさまざまな話しをしました。子供の頃から大好きだったオフロードライディングの話し。エンデューロの昨今、ラリーへの憧憬。こうしたイベントを通じてボクタチがもっとチャレンジングでなければならないということ。問題は多いけどまた夢も少なくはないのだ、ということの確認。

北の国のまっすぐに伸びる美しいダート、森、動物たちや木々の美しさは、旅をするものの心を鷲掴みにします。時おりやってきては気持ちよさそうに駆け抜けていくラリーバイクを見ながら、本当にふたりはいろいろなことを話したり笑ったり深刻になったり、時には怒りになったりと充実した濃厚な時間をすごしました。きっとここからも新しいチャレンジが生まれてくるはずです。

夢は個人差はあり目標を夢と語る人もあれば、それはかなわないから夢なのだと語る人もいます。その言葉は希望だったり挑戦だったりするわけですが、この時代に生まれ巡り合わさり、ひとつの(誤差はあれど)夢に向かう共同体を組むことは、奇跡的な偶然しかありえないと思います。

またいろいろなお話はこちらで。

さて、皆さんも無事に社会復帰されたでしょうか。
また近々お目にかかることにしましょう。

きょうの一枚

尾島嘉男、TBIに続き2連勝!!九州も勝ってパーフェクトで王者に就くかも。とにかくノリノリ。


2011/07/11 (月曜日)

「行き詰ってる?そんなの甘いよ。切り口は無限にある。」

世の企画マン、というかいまや1億総企画時代だね。一番の問題はパワーポイン トだ。スイスでは反パワーポイント政党なるものも出来た。APPP・・アンチ・パワー・ポイント・パーティの略だと思われる。

コピペで申し訳ないけどこんなことを言ってる。

「APPPによると、世界約2億5000万人の人が毎月、企業の中で退屈なプレゼン テーションに無理矢理出席させられており、これまでこうした人々の声は政治の場に反映されてこなかった。APPPはこうした人々の代弁者だとしている。 APPPは、パワーポイントのようなプレゼンテーション・ソフトを使用するのが問題の根源にあるとみており、上役がパワーポイントの使用を指示したり、学生がパ ワーポイントの使用を義務づけられるのは悲しむべきことであり、APPPは95%がパワーポイントよりもフリップチャートで行った方が効果があがるとしている。」

どうだかは知らないけど、うちの会社もパワーポイントを使わない。
「え”−−、パワーポイント使ってないんですか?」
もう10年も前に大手広告代理店から、遅れてるぅ、みたいな事を言われた。少しは使ってみるんだけど、みんなこんなのでプレゼンしてどこが面白いのか?と思ったもんだ。WEBを使ってプレゼンすればいいよ・・・ボクはそういい続けた、10年も。

このようなもの(パワーポイントね)で、企画の中身とは全く関係ない、、、けど「ちゃんとしてる」みたいに見えるものが出てくるのが問題だと思う。
わからないおじさんたちは
「おお、いいんじゃないか!?」
それがいいのは中身じゃなくて、見せ方がいいだけなのじゃないのか?

いや、そんなこと書こうと思ったんじゃない。

みんなのtwitterでも話題の海洋堂ホビー館。
TBIで通る心配までしてる。
場所は打井川だ。それだけで解るのはスタッフでも数人もいない。
ボクでさえ地図で確かめたりしている。
こんなところ通る人はいない。
TBIのときでも
「こんなとこまで舗装しなくてもいいよな!?」
と言いながら走るようなところだ。

今のあなたの計画の中で
「場所が悪いからなあ」
なんて諦めてる人はいませんか?
梼原のパン屋さんを知ってますか?
「1時間のうちに車は1台とおるかどうかだし、鹿のほうが多い。」
企画なんて仕事やってる人間ほど感激する。
野良作業中のおばあさんがやって来て
「バケットとコーヒー」
なんて言われて並んでるぼくたちはビックリする。
ほら、あなたが「ここでパン屋をしようかと思うけどどう?」
って聞かれたら、なんて答える。
「無理、絶対無理」が99%
「バカじゃないの!」が1%
あのへんてこなボクでも1%の部類だった。

今日の結論。

企画なんて、行き詰るのは簡単に成功を求めるからで、成功を求めない企画が案外と成功する時代なのかもしれません。一等地でバカ高い固定費を払ってうまくいくビジネスなんてもう存在しませんよ。

仮に存在するとしても地方では全く。
しかし視点を変えれば、もう世の中は楽しいこととチャンスとクリエイティビティ
に溢れてるではないですか!?
身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ。ですぞ。

誰も来ない場所。誰も知らない土地。誰にも教えたくない風景。来れたらエライ!そんな場所は魅力に溢れてますよね。

だからボクは四国に橋が付くのを反対してたんだ(出来てから反対してるかも)四国なんて船に乗らなければ行けない辺鄙なとこでよかったんだ。

きょうの一枚

その海洋堂ナントカ館、試験に出るよじゃなかったTBIのRCPになるよきっと。ボクも早くこんなの作りたいなあ。


2011/07/08 (金曜日)

「さあ、北海道ウイークだよ。」

事務所ではまもなく北海道に向けて出発予定で大忙し。なのにボクは一人でモンゴルのコマ地図書き。

「セッセセッセ」

このコマ地図書きという仕事、いつかも書いたと思うけど実に心が表れる。なんたって集中する。あの1ヶ月前の試走のときの一こま一こまを頭に浮かべながら・・・すると、なんと言うことでしょう。まるで今そこに立ってるみたいに、生き生きと甦ってきてまるでさっき通ったばかりのように甦るから不思議です。かと思えば、全く意味不明のコマもあって、どんなにしても思い出せない。やむなく2号車のコマ地図を見て
「せやせや」
という大阪弁で片付けたりもしています。

ともかくもう少しで書き終わります、書き終わればみんなで真剣に校正するのです。GPSの数値は間違ってないか?コマ地図は2号車のものと比べて検討されます。

ボクはというと、あとは野となれ山となれ〜状態で、次に向かって突き進むのでした。

さて北海道と聞くと、あの忌まわしい出来事から1年。もうすぐその闘いも終わろうとしています。
間違いと気が付けば引き返す勇気、それを持たなければならないのはどちらなのかが。本当にご心配をおかけした1年でした。これまで以上にパワーアップしたSSERで、この夏も乗り切っていきます。

きょうの一枚

ええいっ、景気良くNEWフェラーリFF

「えっFF?」
「いやその前輪駆動ではなく、全輪駆動の意味のフェラーリ フォー(FF)でございます」612スカリエッティの後継でフエラーリ初の4WD・4人乗りモデルとなる。

「そんなん邪道や!」というあなた。

どうでも宜しいことではありませんか。

お値段3200万円。

日本の発表会はイタリア大使公邸で開かれたということです。官民挙げて自国の製品を売り込もうとするスタイルは・・・まあ日本は原発と新幹線しか官民挙げて売り込んではいません。


2011/07/04 (月曜日)

「ラリーモンゴリアに関するお知らせ」

ラリーモンゴリアの開催に関し、変更が生じましたのでお知らせいたします。スタート前の使用するホテルが変更になりました。従来予定しておりましたヌフトホテルが緊急に改装することとなり、スタート前のホテル、車両搬入場所・行政検査・車検会場が以下のとおりとなります。

新会場:車検総合ブリーフィング会場、事前の車両搬入・宿泊もこちらです。お間違えのないようにお願いします。

チンギス・ハーン村 ツーリストキャンプ
  N:47°48”37 E:106°48”56

宿泊に関しては、既にジェットホリディにお申し込みの方はアレンジしていただいております。

「SSERリニューアル計画」

今年から3ステージ制に移行するSSER2DAYS・・・表現上はSSER3DAYSとなった。かなり国際ラリー色の濃厚なものにしたいと考えて検討している。モンゴルで行っているインターナショナルラリー・スタンダードを部分的に導入しようと考えている。でもコースマークで進行するのはこれまでどおりだが。

決定的に変更するのはコントロールフラッグをラリースタンダードに変更する。これまでのCP100と変わるのでレギュレーションに留意されたい。

「レイド・トレック・タクラマカン2011」

この秋に開催予定のタクラマカンは、現在現地の受け入れ関係のすべての調整が完了。チョモランマのように・・・順調に計画が進捗する見込み。どうか皆様の参加を宜しくお願いいたします。

きょうの一枚

「コントロールフラッグ」
SSERはこのラリースタンダードのコントロールフラッグに変更する予定。 

 
2011/07/01 (金曜日)

「さらにルート考察は進む。」

モンゴルのルートは1995年の第1回大会を除けば、西へ展開する。1回大会はまず東へ向かった。大興安嶺まで行きたかった。いまも日本軍の戦車が草生すノモンハンまで行ってやろうと思った。途中の村ではミグの墓場もあって、なにかしら20世紀の不穏な空気が漂っていた。その頃はまだ20世紀末だった。ボクはキビスを返した。草原は果てしなく続く。とにかく草原だ。大草原地帯だ。

ボクたちは西に向かうことを決意した。

チンギスハーンが西に向かった足取りを追いたかった。西に向かうということは、まるで太陽を追いかけるような行為だ。

そしてラリーのルートは、3つのスタートのパターンが生まれた。まず舗装路を南西に向かいアルベイヘールをSSのスタートとするパターン。次に舗装路の途中から西へツェツェルレグに向かうもの。この二つだけでも性格はがらりと変わる。もうひとつは、南にスタートするものだ。空港の南からSSが始まる、マンダルゴビに向かうパターン。

これ以外のパターンは存在しないといっても良い。西へ西へ向かうと、日没が遅くなるというメリットがある。南へ向かうと暑い。

やや北にふると雨のリスクが高まる。

まことにこれほどゾーンごとに天候が全く正確が異なるのは珍しい。今回は、少し複雑な1と2のパターンの組み合わせである。