Organisation Voice 2012/10

 

 

2012/10/30 (火曜日)

「無謬性」

最近よく聞くこの言葉、ムビュウセイ。公務員の無謬性とか検察の無謬性とかよく使うよね。
「でたーっ」ついにあの件を書き始めるのか?
いやあれはまだもう少し先で・・・で、最近の報道を見ながらボクは「主催者の無謬性」について
考えていた。
無謬性とは簡単に言えば「間違いのない」ということ。つまり公務員は間違わない。ということだ。

多くのスポーツ競技など規則に縛られるものには、それを運用したり監督する者は、規則とは競技者のためにあるものだと信じている。
決定的な誤審をしても、あとで分かったのでは仕方がないので審判の無謬性を組織的に担保している。それが揺らぐと、その競技団体の存在すら揺らぎかねないからだ。
NFLではチャレンジというシステムがあって、チームのヘッドコーチが赤いフラッグをフィールドへ投げ込むと競技は一時中断してオフィシャルレビュー、つまり審判がVIDEOをあらゆる角度から検討する。しかし認められなかったら1度のタイムアウトを失う。前後半に各3回ずつ与えられているタイムアウトは戦略的に極めて貴重なものなのだが、それを賭してまでジャッジに難癖をつける。しかし審判はビデオ判定の結果、誤審をあっさり認める。まさに過ちを正すのに何の躊躇もないという姿勢だ。

ラリーを主催していて思うのは、ルートを決めてルートマップを書いて大会本番になって、その「自身の無謬性」について、いたたまれなくなるほどに悩むし、怖い。

ボクはたくさんのGPSポイントと何人もの目でコマ地図を校正してもらう。だいいち試走中にはバックアップのコマ地図も書いてもらっている。距離の計算なんか「そんなに何回もしなくても」と、まるで間違をすることが確実であるかのようだもの。それでも1回の大会に右と左と書き間違えることが1回はある。
ところがバックアップのコマ地図が違う方向を向いていても、だからといってボクが書いたコマ地図が違うということにはならない。
そんな時はずっとスタートから神経衰弱ゲームのように記憶の糸を手繰り寄せる。
でもまあGPSポイントと最近ではグーグルアースで大方は解決する。
それでもモンゴルに電話して「あそこのここのどこそこのコマを見てきてくれないか?」なんて聞く側にとっては気の遠くなるようなお願いもする。

規則の適用についても考える。
ボクが思うには結局のところ、規則に縛られているのは競技者ではなく、主催者や審判員たちだということに気が付く。間違いを正すに憚ることなかれ。とはいうものの一度下したジャッジを覆すのは恐ろしいほどの力がいるのだ。

もっと心を磨き、もっとフラットにものを見て、何にも左右されず。
そういう人に私はなりたい。

きょうの一枚

たまりません。ここはハルヌールから南に下った砂丘地帯。ウブスから数百キロに及ぶ大砂丘。。何度もここを越えましたね。



2012/10/29 (月曜日)

「ウブス。」

昨晩はTBSのThe世界遺産でウブス(テレビではオブスとなっていたけど)を見られた方も少なくないかと。あのボクがもっと憧れる場所。。。

最近のこと「どこが一番魅力的なのか?」と聞かれて即答。地図を広げて「ウブスとこの砂丘地帯ですよ。」と答えたものでした。

ラリーモンゴリアの西に向かう旅は大会の2年目から始まりました。1年目はまず東に向かったものでした。数年後にラリーは念願の西の果てまでたどり着きます。ホブトとかウーランゴムという町です。輸送には航空機を使ったり…おかげで空港でビバークした年もありました。いずれにしても日本人は?ボクだけかもですが西にあこがれるのです。

ウブスは不思議なところでした。巨大な湖は意外と水深は浅く、砂丘にはここにもまた泉がこんこんと湧いていて、この地をビバークに定めて県に地図を出したところ「なぜここを知っているのか?」と問われて困ったことも。。。「いや偶然に・・・」「???」そこはロシア国境に近く人跡もまあ稀です。無線機もなぜだか使えなくなるエリアです。

湖の一部の北岸はロシアのテリトリーです。テレビの番組は時間がなかったんでしょうか、細部まで伝えきれてはいません。東岸に伸びる深い砂のピストは、容赦なくて暑くて、それでももう大興奮をしてたことを思い出します。そういえばこのエリアで、ebisawaさんがリタイアしたなあ、とか感慨は尽きません。

何も地の果てまで行くことがアドベンチャーだとは言いません。そうも思いません。しかし魅力的な大地は常に辺境にあります。行くのは困難ですが、行けば行っただけの感慨はあります。

テレビでは、ウランバートルから3日!と言っていましたが、今ならずいぶん道も整備されてますから、まあそんなものでしょうが、ラリーではさらに困難なルートを選びながら3日でそこにたどり着き、南岸を通りボグドやウーラングムへいくと、もう中央アジアのカザフの大地で、シルクロードのような印象です。

さあ、そうこうしてるうちにタクラマカン。これもまた困難を道連れに旅をしてきますね。

きょうの一枚

ウブス湖岸。美しいならハルヌールには及ばないし、湖の周辺に砂丘ができるのも同じ。でもよく考えたらハルヌールからずっと砂は続いてるんだなあ。あのハルヌールのあとのデューン越えのあと出てくる生まれたばかりの川は、ウブス湖の南にあるヒャルガスぬーるに流れていて、この数百キロの砂のエリアを探検したいと思ってるのですが・・・


2012/10/22 (月曜日)

「コルラ川を渡るよ。」

タクラマカンの計画が、息を吹き返しました。
長引きそうな日中関係の懸案事項。さまざまな行事や計画が滞ったり中止に追い込まれたり、さぞや関係の皆様も心をいため、失望し、やり場のない怒りにあると思います。
わたしどもも二転三転するこのタクラマカンへの遠征に、本当は疲れ果てていたのも事実です。
しかし、それはそれ。条件さえ整えば冒険の旅に出かけるのに何も躊躇はありません。とにかく許可はそろいました。少しスタートが遅くなるので中国の国内線の乗り継ぎとタクラマカン奥地の低温への心配はあります。特に中国の西域は10月末でウルムチくらいしかまともに飛んでないのです。

ということで最初の目的地を嘉峪関からウルムチに変更。
しかしウルムチと言えば新疆ウイグル博物館!あの楼蘭の美女の眠る・・・そこです。楼蘭から発掘されたそれは3,800年の眠りから揺り起こされて、その後中国国内で防腐処理を施したものだから、発掘当時真っ白だった肌の色が黒ずんだという残念な点はありますが、まるで最近編んだばかりのような獣毛のニットや羊皮の靴などに本当に驚かされます。

翌日はトルファンまでわずかな距離をバスで移動です。というのも日本で預けた貨物(つまりバイクや車ですが)はトルファンのホテルまで運んでおくことにしました。ここはシルクロード見物のハイライトな都市!1日費やしてトルファンを観光しつくすことにします。
そして一気に輪台から砂漠公路縦断!これまでのプランでは砂漠の真ん中のビバークを計画していたのですが、こちらはちょっとやめ!てタクラマカン砂漠の南の都市まで一気!

そんな話の続きはまた。
SSER PRESANTATION 2013の2日前に帰国して、皆さんに元気そうな顔でお目にかかれることを。。。

Bon Voyage

きょうの一枚

ボクの大好きな宿、敦煌山荘。。何度も泊まって何度もシルクロードの夢を見た宿。背後には巨大な砂丘群がそびえ連なるんだ。 

2012/10/12 (金曜日)

「リーク、意図的だけど。。」

さて2013TBIが変わるらしい。って張本人が「・・・らしい」というのも噴飯な話ですが。物語の始まりはこうでした。

「奄美行きたいねえ。」
「奄美、いいすねえ。」
「大隅半島もワイルドだよねえ。」
「懐かしいすね、TDN」

TDNとは「ツールドニッポン」のこと。奄美をスタートした年や、ハウステンボスからスタートした年。この年は日本のエネルギーが隠れテーマで、長崎平和記念公園や雲仙普賢岳、人形峠や大飯や敦賀の原発銀座。そして北海道ではサロベツの大風車地帯を駆け抜け、青森では一連の各処理施設の姿を眺めながら福島へ。そして夜の東京へゴール。今思っても感慨深い大会でした。
ガストン・ライエも走ってたしなあ。。

そんな話ではありません。TBIがスーパーTBIになるというお話。

「大阪でプロローグして船に乗るなら、奄美に行こうか?」
と、突拍子もない話を切り出すのはボクの常套。
「いやそれはさすがに遠いでしょう、志布志はどうすか?」
「おお、志布志!」
「南九州で4日か5日。そして佐伯宿毛フェリーなんぞで四国にわたり2日か3日。」
「おおっ。でも何日になるんだよ?」
「いや来年は超大型連休ですから12日くらい・・・」
さすがに12日はもちません。
「でも8日間くらいで九州と四国。2回のフェリー。ちょっとしたTDNだよね。で走行距離はどのくらいになる?」
「たぶん3000キロでダートも1000キロ近く!?」
「それはすごいなあ。もう準備に取り掛からないと間に合わないよ。」
「じゃあ、明日から・・・」

そんな会話は、果たして実現するのでしょうか?
よっしゃ!と思った方は「いいね」を押してください。
ってこれはFBじゃないんだ。

きょうの一枚

こちらは奄美。ビーチサイドのコースマークとSSERのパラソルが意味深。気持ちの良い大会でした。次回のTBIはSSER 30Years pre Eventの一環で、すべてをアップグレードする1年間!をテーマに?「Super-TBI2013」は大阪-鹿児島-宮崎-熊本-大分-高知-愛媛-徳島など8県をまたぐのですぞ。。。


2012/10/11 (水曜日)

「やっぱ、今求められるのは、ハングリー精神とチャレンジ精神かな。」

ちくま新書の新刊「現代がトヨタを超えるとき」韓国に駆逐される日本企業・・・そんなこと!をついに書いたやつが現れるのか。。。

ジャパンアズNo.1などと聞いて育ったゆとり世代や、もちろんがむしゃらに働いた団塊の世代にも、そのなんとも恐ろしい響きですが、本当のこと言うと「どこかみんな予感めいたもの」はもっていたはずです。液晶TVで起きた現象が自動車産業でも起きつつあるということです。

家電の次には自動車もコモディティ化の波がやってくるのはわかっていました。効率化を進めれば進めるほどに、「組み立てカンタン式」のものになるのは道理だし、プラットフォームの共通化というのは、実は効率化ではなくて競争力を削いで行くことだったのかもしれませんね。

なにより本書を通じて思うのは、日本人の経営トップのチャレンジ精神の欠落だということでしょうね。または自信の喪失と言えるかもしれません。

長く日本で語られた「選択と集中」美しい言葉です。持てる経営資源を最も競争力のある事業に集中する。あらゆるコンサルタントやエコノミストが語った20年でした。確かその前までは多様化、ダイバシティ。しかしこの「選択と集中」の過程で、もう一つ恐ろしいことが進行していました。

それは「コンプライアンス」つまり簡単にいえば企業の社会的責任ですが。。。その実態はどうなんでしょうか。企業の多くは、そのコンプライアンスという「魔法の言葉で~」何をするにもだいたいは「やらないほうがいいんじゃないか・・」という消極策を選んできています。

過去にはみんなハングリーで、新しいことにチャレンジするというときには「少々のことは。。。」と目をつむって進んでいったはずです。もちろん経営のトップの話というばかりではなく、国民の多くにも滾るようなチャレンジ精神がなくなってきているのかもしれません。

さあ、それでもボクタチは何かに向かって。ちょっとハングリーで、行きたいものです。

きょうの一枚

今年は晴れに晴れたラピュタの道。でも下部では崩落があって通行止め。おりくちに「たぬき」みたいなCafeを作ろうという話で盛り上がりはしましたが・・・

2012/10/09 (火曜日)

「心を磨く?九州4デイズ無事終了」

本当に素晴らしい秋晴れの日々でした。
参加された皆さんの笑顔がそれを物語っていました。
九州は本当に山深く、椎葉村では厳島神社に詣でたボクタチは静かにこの落人の里の高台で秋の朝の光を愉しんでいました。
開店前のお土産屋で、それは旨いそばを平らげ、おまけにご飯に漬物に佃煮やら梅干しやら、たらふくごちそうになり、これもこんな良い天気ならではだなあ・・・とひとりごちたものでした。
ことほどさように好天は人の気持ちを温めます。悪天候は人の気持ちを暗くするのでしょう。

これまでの週末ごとの雨または大雨。または毎年のイベントに襲いかかった台風の日々。そんなSSERならずとも多くのイベント、運動会、お祭りや遠足。日本中でいったいどのくらいのテルテル坊主が作られたでしょうか。子供たちの期待を思うと胸が痛みますよね。
うちの事務所にもテルテル坊主はかけてあるのです。

でもまあまだSSERはいいんです、慣れていますから。困難は友達だ!などとうそぶいている責任もありますから。
そしてひとつの「晴れ」は気をつけないと、これまでのすべての悪天候を忘れてしまいます。つまり晴れは慢心のもと。良い時ほど穴に落ちて足回りを壊します。

そんなことを考えながら坂を下ると正面に通潤橋。数台のマシンが停まっていて美しい秋の夕暮ならではの朱に染まった風景が、わずかに心をふるわせました。それぞれに表現の方法は違えど、誰もがこの4日間に同じような思いを持ったのだと感じます。

クルマの中で「こころとは、いったいどこにあるんだろう?」はじまりました。
社内では「またはじまった・・」とあきれられたり、行きつけの飲み屋では「もう・・」な話も、まじめな深草君は真剣に考えてくれます。
「こころは脳の中にある。」という彼。けして間違いではありません。
しかし脳はPCのようなもので電気信号で作動しているのに、なぜにそこに心が発生するのか?なぜ世界中の人が心臓をさして「心の問題だ」というのか?ハートとは心臓のことでもあり心のことでもあるのはなぜか?「こころ」ほど不明確なものが、これほど多く慣用句として使われているのか

そんなことを考えながら、話しながら夜のSSに。
「コーステープ、ここに着けたら・・・」
「なにい、そこじゃあみんなミスコースしないじゃないか。せっかくわかりにくい分岐なんで、ナビゲーションの正確さを見るためにもコーステープはずっと先のほうがいいに決まっている。」「そうすよね。」

果たしてその時の「心」とは。



2012/10/02 (火曜日)

「荒城の月は、残念ながら。」

いいんです。わかってるんです、台風の季節の九州は、なにかと足が遠くなるということをだから少ないんだってことね。

こう書いてる今日も、突然北上を始めた大型の17号が接近!しています。それもどうかこの台風が大きな災いを残しませんようにと祈っています。とにかくここのところ九州は大きな災害にたびたび襲われています。「竹田を通りたい」とボクのリクエスト。岡城址を遠望し出来れば、そこの駐車場に停めて荒城を愛でたいものだと。。。すると「竹田は豪雨被害が大きくて、今回はやめておきましょう。」とコースディレクターのカオルサン「・・・・」そういう理由なら、突き返す言葉も出てきません。

いいんです。わかってるんです。どうして参加者数が少ないか、なんてことは。ほんとうに、いいんです。九州はみんなが大好きな土地です。何がそう思わせるのかは定かではありませんが、独特の言葉や文化かもしれません。人間性もまた魅力ですよね、お酒を過ごし過ぎなければね。。文化的にも微妙に大陸的なものもあったりね。

そんな九州も行くのには交通費が馬鹿になりません。だからと言って参加者が少ないのは、、でもバイクは28台なんです。「28ねえ。」「!!」そういえばSSERは今年28年。ボクのラッキーナンバーも28.ついでに誕生日も28日。というわけで、むしろ楽しい旅をするには最高の人数だ!なんて強がっています。

九州4デイズ。プレ大会をカウントして3年目の大会です。九州の魅力にすっかり参ってしまっていて、まだまだ日本のも走っていないところが沢山あるんだなあ。なんて思いながらまた旅支度をするのでした。

SSERクロスカントリーシリーズ。それぞれの土地にそれぞれのコースディレクター。すこしずつ微妙に違う何かにはアジャストを求められはしますが、とびっきりの風景と林道と、楽しい仲間たちと走る喜びはどの大会も同じ。どの大会もみんな光り輝いていますよ。